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  • 執筆者の写真urujyu

お母さんのこと

「きらきらひかるになる?」

長男の離乳食が終わり、いよいよ自分で食べ始める時

「最初のお茶碗に」と彼の名前にちなんだ「月」の陶器のお茶碗を買った。

それから、毎日使って落としたり、転がしたり。

欠かしたお茶碗を「きらきらなったよ。お星さまみたいに」と何度も何度も金継ぎで直した。

それはまだ、言葉をはなし始める前のこと。

3歳になるころ、自分で欠かしたお茶碗を持ってきて

「きらきらひかるなる?」と聞いてきた。

「きらきらひかるなるよ。お母さんが直してあげる」彼はちゃんと知っていた。

彼のなかには、「もったいない」という言葉はまだないと思う。

でも「壊れた陶器は治る」ということを知っている。

もうすぐ彼は3歳半。金や銀、毎回違う色で直すので

彼のお茶碗はお星さまのような金銀砂子。





二人目の女の子は、暴れん坊。お兄ちゃんの時と同じに

陶器のお茶碗を使いだしたら、見事一週間でパリンッ。

下の子は、割るのが上手。

気に入らないことがあると、なんの躊躇いもなく掴んで投げつける。

おかげで、揃いのお皿の一つは必ず金継ぎ。


今は、食卓が「きらきらひかる」

この器たちは、私の宝物。

子供との日々の美しい結晶。

子供たちの割ったお茶碗は、すぐに過ぎていく一番可愛い子供

頃の思い出。

子供のお茶碗は、お母さんの宝物


今、母親の私は「今」の大切な記憶を未来に残すため

「金継ぎ」をしている。


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